【参考書レビュー】何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55
こんにちは!
オンライン小論文対策「ことのは塾」の、参考書レビューコーナーです。
「小論文の対策を始めるぞ!」と意気込んで書店に行ったり、Amazonを眺めたりするのだけれど、小論文1つをとってしてもたくさんの書籍がある今日この頃。
「最初の1冊は何にしたらいいの?」「次は何を読んだらいいの?」と迷う方のための、参考書レビューです。
今日は、人気の小論文参考書『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』をご紹介いたします!
目 次
10秒レビュー!「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」
今回ご紹介する 『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』 は、小論文のエッセンスを55の掟に分解して1つずつ説明した本です。
1つ1つの掟の区切りがコンパクトで、集中力を保ったまま読み進めていくことができます。
本記事では、そんな 『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』 の魅力や注意点について紹介します。
基本情報「何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55」
何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55
著 者:鈴木鋭智(すずきえいち)
出版社:中経出版
初 版:2011年10月17日
分 量:B5判で191ページ
本書は元代々木ゼミナールの国語科講師である鈴木鋭智が記した参考書です。
これから小論文の練習を始めようとしている生徒たちにおすすめの一冊となっています。
初版発行から10年程度が経っていますが、その間に何度も重版し、発行累計数10万部に達した本です。
まずは、この『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』 の人気の秘密を紹介していきます。
『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』の良いところ
この本の良さとして、まず第一に上がるのは「読みやすさ」です。
本文が話し言葉で書かれており、読み手にやさしく授業をしているかのようなテイストで書かれています。
小論文という堅苦しく思われがちな科目で、やわらかい話し言葉を使うことで手に取りやすく、読むハードルを下げてくれています。
一つ一つのオキテは、大体見開き1~2ページとシンプルにまとめられており、これも読みやすさの一つの理由になっています。
各オキテの中では、「あなたが考える平和とは?」などというような身近な題材が提示され、それについていくつかの答案例が載せられています。
答案例は「ガッカリ答案」「モヤモヤ答案」「スッキリ答案」と、完成度別に3種類挙げられています。
どのような点が良くて、どのような点が残念かを見比べていくことで、実際に自分が書くときにも気をつけられるというコンセプトで解説されています。
読むときはぜひ、課題に対する自らの答案も作ってみて、比較してみてください。
さて、再度改まって、本書のタイトルにもなっている「オキテ」ですが、オキテ(掟)とは、あらかじめ心の中で準備しておくこと、です。
そう、これは小論文を始める前に55個の準備しておく(心の中で決めておくルールのような)ものです。
さて、その55個の準備にはどんなことがあるのでしょうか。
参考書全体を章の構成とともに紹介していきます。
小論文の正解を追う第1章
まず第1章では、「小論文には正解がある」と断言しています。
合格する答案と不合格になってしまう答案を比較しながら、小論文とは問題点+解決策であると示しております。
出題意図を理解して、読み手にメリットを与えるのが合格する答案と述べています。
また、この序盤で英語と小論文の得点分布図が載っており、小論文が他科目よりライバルたちに差をつけるチャンスであることを明記しています。「微妙なB評価よりぶっちぎりのA評価を」と発破をかけていますが、その通りだと思います。
入試は総合得点の勝負です。
小論文を他科目の勉強より優先度を下げている方もいるかと思いますが、この分布図をみて、受験勉強の戦略を考え直す機会にしてみると良いでしょう。
選ぶ側にいる大学や企業がどのような生徒(人材)を求めているかという点にも小論文に関連付けて説明しています。
小論文が書けない=卒論やレポートが書けない、問題解決ができない(つまりは入学、入社できない)と伝えています。
受験生にとっては、なかなかシビアな表現ですが、入試とはそれだけドライなものです。
具体的な答案作成法を指南してくれる第2章
第2章では、課題別メッセージ別攻略法として、課題文は4つ(抽象テーマ、具体的問題の説明、具体的対策の提案、意見対立型)に分類できるとしています。
そこで、それぞれのどのような切り口で答案をつくっていくか、が分かります。
受験する大学・学部によって、出題形式・傾向が異なるので、志望校の過去問から「どの課題文に分類されるのか」を把握して、イメージを膨らませると良いでしょう。
また、グラフの例を挙げて、生徒たちの読解力(問題の意図を汲む力)を試す場面もあり、資料(図や表)を読み違えると、課題に対して全く合わない答案になってしまうことを示してくれています。
数学を使わないからといって、グラフを読み解く力をおざなりにしている文系の生徒がいましたら、合格から遠ざかることになるので、注意しましょう。
構成について正してくれる第3章
第3章では、本番を想定したおすすめの段落構成を紹介しています。
ここでは三段落構成を2パターン覚えておくようにと強調していますね。
あとは、「先に段落の構成を決めるから筋の通った思考ができる」と伝えていますが、
これは、普段添削する私たちも「まさしくそうだ」と頷きました。
段落構成も決めずに書き出して、結局何が言いたいのか、段落が全くかみ合っていないよね、となる答案を多く目にするからです。
コースも決めずに走り出して、スタート地点付近でうろうろしていたり、結局迷子になったりするというイメージですね。
これだと、なかなか合格点の取れる答案にはなりません。
そうならないようにするための様々なヒント・オキテが本書にはたくさん載せられています。
小論文のそもそもについてナビゲートしてくれる第4章
第4章では、小論文のルールについて語っています。
原稿用紙の使い方、言葉の使い方、主語と述語のズレなど、基本的なことを教えてくれます。
原稿用紙のマス目に数字やアルファベットを書くときにはどうするか、自信を持って答えられますか?
意外と盲点になっているところが要領よくまとめられています。
言葉の選定については、小論文では使ってはいけない「カジュアル言葉」を、よりふさわしい「フォーマル言葉」にまとめたリストで紹介するなど、なかなか実戦的な整理がなされています。
小論文について「本当にまだ基礎ができていない・分からない」という方は第4章から読むといいと思います。
また、他の参考書にはなかなか見られなかったまとめとして、「〜とはどういうことか、説明しなさい」型の問題に対する考察を分かりやすく説明しています。
50字から200字くらいのショート問題でよく出題されますよね、この「どういうことか問題」
(現代文の記述問題でもよく出ますね)
それについて、実は3パターンの背景があるんだよ、と丁寧に説明されています。
「問題解決のルール」をうまく言語化した第5章
第5章では、問題解決をするために、どのような順序で思考を働かせるかを説明しています。
「課題の抽出」⇨「解決策」という、小論文の骨格をなす思考過程を、これまた分かりやすく言語化しています。
いじめ、パレスチナ問題、少子化問題…など実際に小論文の問題として出てきそうなテーマを基に、実際にどう解決策を導いていくかを実演してくれています。
この思考プロセスをなぞれるかどうかが重要なのです。
第4章までは、小論文に関するルールや鈴木さんの考え方などが主体となっていましたが、第5章から具体的な問題と答案の見せ方になっています。
より集中して読むべき箇所ですね!
志望理由書についてまとめた第6章
第6章では、志望理由書の書き方についてです。
著名が「小論文のオキテ55」なので、「志望理由書?」と突っ込みたくなる生徒もいるかもしれません。
しかし、文章で自らの考えや意思を採点者に伝える力が必要であることは小論文に共通しています。
オキテでは「自分から一歩踏み出して情報を取りに行け」とメッセージを送っています。
現在の受験が情報戦であることは間違いないです。なぜその大学を志願するのか、なぜその未来を描くのか、目標を実現するためにどのようなことをするべきなのか、など調べることはたくさんあります。
志望理由書が必要な生徒は第6章を読み込んで、自らの気持ちと根拠が伝わる理由書を作成できるようにしましょう。
過去問への取り組み方についてまとめた第7章
第7章では、過去問に取り組む際の注意点にふれています。
過去問の入手の仕方や、時間配分、答案用紙の保存方法まで紹介しています。
ここまで指導してくれるのは、ありがたいですよね。
せっかく知識や方法を身につけても、本番で力を発揮できなければ意味がありません。
参考にして、自らに合った書き直し(復習)しやすい状態を整えて、小論文の練習回数を重ねましょう。
『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』の注意すべき点
続いて、本書を読む・読んだ上での注意点についてまとめます。
まずは構成上の懸念点ですが、オキテ55個が同じリズムで並んでいるので、途中で飽きる人もいるかもしれません。
また、本格的な演習問題があまりないので、学んだことを生かす箇所がほしいと感じました。
これらを補うために、
オキテをいくつか読んだら、そのオキテに載っている例題に対して、自ら答案を作って、「小さい実践を重ねる」方法がこの参考書には合っていると思います。
ただし、やはり本番を想定したような問題は少ないので、早めに読み終えて、実践的な問題集に取り組むことをおすすめします。
「読みやすさ」「わかり易さ」「即効性」は星4つとしましたが、上記の理由から「実例の多さ」と「実戦性」は星3つにしました。
まとめ
『何を書けばいいかわからない人のための小論文のオキテ55』についてまとめると次のようになります。
小論文の入門編としては、読みやすく、分かりやすい参考書といえます。
オキテを理解したら、それを実戦で使えるようになっているかを試す必要があるため、早めに読み終えて力試しをする必要があります。
志望大学や学部ごとに必要な知識もあるため、この1冊だけで全てをカバーするには難しいため、次の参考書は教養や専門分野の知識をつけられるジャンルがよいでしょう。
ことのは塾は、さまざまな参考書のレビューを書いています。
『採点者の心をつかむ合格する小論文』の著者は「体験談」を書くように強調していましたが、『何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』 の著者・鈴木さんはyoutubeで「体験談は不要」と断言していました。
各科目の先生の中で、様々異なった意見が出てくることはありますが、小論文は特にそれが大きい気がしますね。
唯一解がないところ、決まったカリキュラムがないところが、そうさせているのでしょう。
いろいろ比較してみることで、差が大きいところ、最大公約数的なところなどが見えてきます。
その中で、自分にあったフォームが作られていきます。
本ブログも、皆さんのそういった錬成にお力添えできればと思っています。