【参考書レビュー】石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文

石関のいますぐ書ける看護・医療系小論文 東進ブックス 石関直子 ena 新ゼミ

 こんにちは!

 オンライン小論文対策「ことのは塾」の、参考書レビューコーナーです。

 書店に行くと、英語や数学の参考書と同じように、小論文の本も実にたくさん並んでいますよね。

 自分にとって、どれが一番しっくりくるのか、ちゃんとレベルが合っているのか。

 分からなくて悩んでしまう人も多いはず。

 そんな人のための、参考書レビューコーナーです。

 本記事では、東進ハイスクールの講師が書いた『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』をご紹介いたします!

10秒レビュー!「石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文」

石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文 東進ブックス 石関直子 ena

 今回ご紹介する 『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』 は、看護系・医療系大学入試で小論文を課せられる人向けに書かれた本です。

 出版元は「東進ブックス」です。

 「東進ブックス」というと、英語や数学などの主教科で東進の先生たちが本を書いているイメージが強いですが、実は小論文を題材とした本書のような書籍も出版されています。

 小論文の基礎から述べられていますが、題名通り看護・医療系のトピックスに深く触れられており、導入的な本とネタ本的な本との中間に位置する本です。

 本記事では、そんな 『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』 の魅力や注意点について紹介します。

基本情報「石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文」

石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文

著 者:石関直子
出版社:東進ブックス
初 版:2018年3月30日
分 量:B5判で249ページ

『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』 は、東進ハイスクール・東進衛星予備校講師の石関直子氏によって書かれた参考書です。

 石関先生は、東進ハイスクールや、東京都中心に展開するena新ゼミにて、長く小論文の講座を持ち続けています。

 この本以外にもすでに看護・医療系の小論文に関する本を出版されており、この分野でのキャリアを打ち立てています。

 内容としては、原稿用紙の使い方などの基本的なところから始まり、具体的な書き方、看護・医療分野特有のキーワードに至るまで、1冊で幅広くまとめられています。

 この本の良いところをもう少し深掘りしていってみましょう!

『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』の良いところ

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 まず、筆者の石関先生は、上でも述べた通り、小論文の、それも看護・医療系の分野で長年の指導経験を有しています。

 数々の答案を見てきた上での含蓄が、本書の至るところで発揮されています。

 また、そのような経験に加え、本書を執筆するにあたって最新の入試問題を多くリサーチされています。

 看護学科を中心に、理学・作業療法士科や保健福祉科などの学科を含む全55大学(冒頭に分析対象大学一覧が載せられています)の5年分の過去問を調査してから、本書の執筆に当たっています。
 また、随所に登場する例題についても、実際にどこの大学で類似のテーマが出題されてきたかをまとめており、安心感があります。

 そんな本書は、全5章で構成されており、基礎的な部分から実践的な範囲までカバーしています。

 それぞれアウトラインを見ていきましょう!

小論文の書き方について述べる第1章

 まず第1章は、小論文を書くにあたって、その前提となる部分をまとめています。

 はじめに第0講にあたるところで、小論文を学んでいくにあたって、その心構えを述べています。

 「看護・医療系小論文」と銘打つだけあって、なぜ看護・医療系入試で小論文が受験科目として課せられるのかについて確認するところからスタートします。

 入りの部分から、自分の志望にあった動機付けをされるのはとても良いですよね。モチベーションが高まります。

 そしてその上で、小論文に臨むに際しての心の持ち方や、勉強法についてお話しされます。

 次いで、原稿用紙の使い方や、問題の分類実際に小論文を書くときの手順について展開されます。

 この時点で、どんなタイプの問題が与えられるかについて知見を持つことができ、一気に小論文の執筆フローチャートに話が広がります。

 ここで、本書の一つである、小論文の公式が紹介されます。

 問題で要求される事柄に応じて、「こういう風に構成を考えていくとよいよ」と場合分けして紹介されます。

 その後、それらの公式について、より詳細なレクチャーを受けます。

 例となるテーマも与えられ、それを公式に当てはめて展開するとこうなるよね、とイメージを喚起する形で紹介してくれます。

 これから小論文を書くにあたって、良い手本をたくさん見ることができます。

小論文のネタ集めについてまとめられている第2章

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 第2章では、書くための材料=ネタを持っておくことの重要性を説いています。

 小論文は、ときに志望している学部や分野について、その周辺のテーマが問題になったりすることがよくあります。

 例えば

 「日本人の特性・特徴について、あなたの考えるところを800字以内で述べなさい」

 というテーマの小論文であれば、これは自分の持っている知識や経験の中で、比較的自由に作文することができます。

 しかし

 「安楽死と尊厳死について、あなたの考えるところを800字以内で述べなさい」

 というテーマであれば、もちろん自分の感想だけで「作文をする」ことはできても、「安楽死」や「尊厳死」について、予備知識をもった上て深い議論をなされた「小論文」と比較されては、これは当然低い点数がつきます。

 そうです。

 自分の志望している学科・分野の周辺知識は知っておかないとスタート地点で大きく遅れをとる、ということがよくあります。

 このため、書くための材料=背景知識=ネタを、あらかじめ集めておく必要があります。

 と、ここまでの話は、だいたいどの小論文対策の参考書に載せられています。

 本書では、さらに踏み込んだ話として、実際にどのように集めていけばよいか、具体的な方法論が載せらています。

 ここは一見の価値ありです。

 また、その後には「分野別必修キーワード集」ということで、看護・医療系分野からの出題でよく問題になる用語がまとめられています。
 その後の「キメのワード&フレーズ集」と重ねることで、この分野への理解が深まります。

 ここは、55大学を調査した結果、よく取り上げられるキーワードについて精選されているので、密度が濃いです。

 最後に、筆者が勧める参考図書が載せられています。
 この本で学んだことを土台に、さらに見識を深めるための道標となっています。
 一冊のガイドブックだけでは限界があるところを、うまくカバーしていますね。

テーマ別の書き方をまとめた第3章〜第5章

 第3章~第5章は、テーマ別小論文の書き方ということで、
 ①「私」について
 ②「社会」について
 ③「医療」について
 という括りで、実際に作文した例が載せられています。

 本書で説明されていた構成公式や発想法を生かして、実際に合格答案を組み立てるまでのプロセスが言語化されています。

 扱うテーマとしては、「私」「社会」「医療」に大きく分けており、出生状況、介護問題、代理出産、脳死と臓器提供など多くを取り上げています。

 それぞれのテーマの中で、さらに分化した課題を扱うので、この本の厚さながらかなりの問題数に触れることができます。特に、③「医療」については、本書が主要テーマとして扱っているだけあり、合計10もの小テーマについて、答案構成の過程を辿ることができます。

 また、題材の中には、図表が問題の中心になっているものもあり、グラフや表が載せられている問題に対して、どう対応していったらよいかについてもレクチャーされています。

 ここで挙げられている題材について実際に自分で小論文を書いてみることが、この本のメインの使い方になります。

 思考過程を真似する・なぞって、自分の答案を書いてみましょう。

 答案が出来上がったら、ぜひ他の人にも見てもらって、意見をもらいましょう。

 模範解答と照らし合わせるだけでは気づかないところも多くあります。

『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』の注意すべき点

 上記で述べた通り、基礎的な知識から実践的な範囲をカバーしている分、計画的な勉強が必要になります。

 数時間で読んで終わる、講義的な参考書とは違い、学んだことを実戦問題で答案をつくる作業が重要になりますので、少なくとも数か月単位で計画を練り、この参考書を進めていくのが良いでしょう。

 特に石関さんがおすすめしているネタの集め方については一朝一夕ではできないので、日ごろから看護・医療系に関連するニュースや記事を読んでおく必要があります。 

 また、類書に比べて、この本は少し敷居が高い部分があります。

 載せられている内容としては、最初にも述べたように「原稿用紙の使い方」などからスタートしますが、そこから先はややハードモードで、どうしても堅苦しさ・難しさを感じる人も出てくると思います。

 「皆さんは、現代文や日本史で〜〜〜と学んだことがあると思います」というようなコンテクストが一部見られますが、その内容がかなりハイレベルなので、少し置いてきぼりをくらった感じる人も出てくるはずです。

 読みやすさ・分かりやすさの部分で星を3つにしたのも、そのような背景からです。

 看護・医療系を目指す人も、最初は少し簡単めの本からがいいな、と思うのであれば、1冊よりベーシックな参考書から入られるとよいでしょう。

 2冊目にこの本でも、そこまで大きな被りなく、むしろ看護・医療系に特化した部分に集中して読むことができます。

 また、本書では他の一般的な小論文参考書にはある採点基準についての言及がありません。

 「大学はこのようなところで評価を分ける!」と採点基準について厚めに述べている本も多くあります。小論文受験生が機にするところではありますからね。

 本書のように、触れずにいく、というスタンスの本もあれば、「採点基準なんてものは存在しない!」と言い切る本もあり、様々です。

 ここは難しいところですね。

まとめ

  『石関の今すぐ書ける看護・医療系小論文』についてまとめると次のようになります。

 看護・医療分野に特化している参考書として、背景知識をどんどん掘り下げていけるのはとても良いですね。

 ネタ本と違って、原稿用紙の使い方などのベーシックなところから始まっていますし、これ1冊でカバーできる範囲は広いです。

 それと表裏一体にはなりますが、他のライトな入門書などとは違って、一冊をやり遂げるまでに比較的長く時間がかかってしまうのは要注意です。

 計画的に取り組むことで、しっかり仕上げたい一冊ですね。

 ネタの集め方なども、ある程度の時間を投資するところで光ってくるところなので、腰を据えて取り組みたいところです。

 採点基準については、上でも述べた通り、難しいところであります。

 「大学や試験によって様々」というのが真理でしょうし、変にいろんな情報が入ってくると逆に迷ってしまう人も多いはずです。とすれば、それほど欠点らしい欠点とも言えないですね。

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