【参考書レビュー】書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20
こんにちは!
オンライン小論文対策「ことのは塾」の、参考書レビューコーナーです。
書店に行くと、たくさん参考書がありすぎてどれを選んだらいいか分からない!
そんな悩める人のためのコーナーです。
今日は『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』を紹介します。
医系学部に特化した参考書で、見識だけでなく考察力が鍛えられる一冊になっています。
目 次
10秒レビュー『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』
『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』 は、医学部入試に特化した参考書です。
全4章319ページにわたって、計20テーマを取り扱っています。少し厚みがあります。
専門知識をつけられるだけでなく、医学部の入試に小論文が課される理由なども明記しており、中身が濃いです。
では、早速 『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』の魅力や注意点を見ていきましょう。
基本情報『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』
書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20
著 者:箕曲在弘
出版社:KADOKAWA
初 版:2015年9月16日
分 量:四六判で319ページ
著者の箕曲さんは、元東進ハイスクール・東進衛星予備校で小論文講師の経験があります。
東洋、早稲田、慶應、東京外国語の各大学で非常勤講師をされており、文化人類学や民俗学を専門にされているそうです。
本書の著書紹介には、「これまで一万枚の小論文を添削し、やる気を出させる精密な添削で『奇跡の添削』と呼ばれている」とあります。
小論文に関しては、テクニックや知識をつけるための参考書が多いので、やる気を引き出すことをPRポイントに挙げているのは珍しいですね。
『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』の良いところ
知識を得るだけでなく、考える力がつく
類書に比べて、深い思考力・考察力がつきます。
これらを引き出しているのは、具体例の多さだと思います。
医学部に必要な専門知識(テーマ・キーワード)を説明している点は、他の参考書とそこまで大きな違いはありません。
本書の特徴は、そのテーマで実際に起きた事件や事故を多く挙げています。
医療過誤(医療従事者の知識不足や技術不足などで起きる医療ミス)で患者が死亡した事件や、東日本大震災で生き残った方々が苦しむ実態などが書かれており、医療従事者の仕事や考え方をイメージ化させてくれるでしょう。
また、序論本論結論にこだわらず、第1段落から結論を展開する書き方も紹介されています。
形式だけにこだわらず、広く深い視点をもって論じることに推奨しているように思えます。
医系学部の入試科目に小論文を課す理由が分かる
本書の「はじめに」をぜひ読んでほしいです。
医系学部が小論文を課す理由が明確に書かれています。
他の参考書ではテーマ・キーワードの知識を説明したり、書き方を伝授したりすることが多いです。
しかし、本書は「なぜ小論文を課すのか」という点を冒頭で説明しています。
どのような人物像が医療従事者にふさわしいか、なぜそのような人物がふさわしいと採点者に受け止められるのか、が書かれています。
ここは医学部を志す方にとって、改めて考えさせられる箇所であると思いますし、志望度・モチベーションの向上に繋がると思います。
内容は濃く専門性も高いが読みやすい
どんどんテーマを深堀りしていくので、専門性が高いです。
例えば、再生医療のテーマではES細胞やiPS細胞に触れていますが、その説明が他の医系学部の参考書と比べて一段階詳しいように思えます。その分、深い事前知識や高い理解度が求められますね。
しかし、本書は口語調で書かれているのと、キャラクターの女子高生が素朴な疑問や意見を挙げています。
生徒さんたちの視点に立ち、親近感をわかせる工夫がさせています。
また、図やイラストもあり、319ページあるわりにはストレスなく読めます。半日もあれば、1周読み切ることもできるでしょう。
比較的新しいニュースを取り上げている
本書では比較的新しい医療テーマを取り上げています。
2004年に日本で流行した鳥インフルエンザを引き合いにしたパンデミック(=新興感染症)や2011年の東日本大震災がテーマとして出てきます。
「尊厳死と安楽死」など、伝統的にテーマにされている医療問題だけでなく、このような次々と生まれる問題も扱っています。
日々、医療関連の出来事に着目していく点では、2019年、2020年ごろから流行っている新型コロナウイルスにもを関心を高めていきたいところですね。
『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』の注意すべき点
『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』は例題1題に対して、答案例が1パターンしかありません。
このような、分野別に頻出の話題を集めた本については、1つのテーマについて、賛成の立場・反対の立場の両面から解答例を載せて考察してくれている本も多いです。
また、例題はテーマ型(短い説明文でテーマが与えられ、意見を論じる形式)が多く、課題文型(文章が与えられ、意見を論じる形式)が少ないです。
「書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20」まとめ
本書をまとめると次のようになります。
『書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』は知識・見識が深まるだけでく、考える力がつく参考書と言えます。
医療従事者としてふさわしい人物像を問いかけ、生徒たちに自らの志を再確認させてくれるでしょう。
専門性が高いことと、分量が多いため、最初の一冊には少々負担が大きいかと思われます。
小論文を書き方をマスターした後に、取り組むと本書の良さをより生かせるのではないでしょうか。
生徒のやる気を引き出す、専門性の高さ、重厚な分量、総合してレベルの高い一冊だといえます。