【参考書レビュー】小論文これだけ!超基礎編

小論文これだけ!超基礎編 短大 推薦入試 樋口 小論文 東洋経済新報社

こんにちは!

オンライン小論文対策「ことのは塾」の、参考書レビューコーナーです。

今日は基礎的な書き方とちょっとした専門知識も身につけられる 『小論文これだけ!超基礎編』を紹介します。

これから小論文の練習を始めようとしている方や、独学で小論文の練習しているが上手くいかない方におすすめです。

早速、 『小論文これだけ!超基礎編』を見ていきます!

10秒レビュー『小論文これだけ!超基礎編』

小論文これだけ!超基礎編 樋口裕一 小論文 対策 書き方 書き出し 構成 添削 採点 基準

 著者は「小論文の神様」と言われる樋口裕一氏です。

 1980年代から大学受験の小論文指導に携わり、もう何十冊と著書がある大ベテランの先生です。

 また、小論文指導者以外にも、大学教員としての経歴や一般書の執筆でも偉大な功績を打ち出している方でもあります。

 樋口先生は、分野別・レベル別で細かく多数の小論文参考書を世に送り出していますが、この本はその中でも最もベーシックな部類に入ります。

 樋口さん独自の「型」で小論文の書き方を、分かりやすく伝えています。素早くベースを固めたい方におすすめの一冊となっています。

 本書は

 第1部「書き方編」

 第2部「書くネタ編」

の全2部で構成されています。

 魅力や注意点を見ていきましょう。

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基本情報『小論文これだけ!超基礎編』

小論文これだけ!超基礎編

著 者:樋口裕一
出版社:文英堂
初 版:2010年8月12日
分 量:B6 判で226ページ

 著者の樋口さんは小論文の書き方指導にて「樋口式」というスタイルを確立しており、小論文を練習する人たちにわかりやすく例示しています。

 塾長、大学の名誉教授、大手予備校講師、などたくさんの肩書を持っています。

 その肩書にふさわしく、教養などをテーマにした本をいくつも世に出しています。

 自身の塾のHPでは、

・文章を書くことや考えることが楽しくなる

・知性と感性を養う

ことなどを強調しています。書き手(生徒)だけでは、気が付かないような点を添削・指導することで、文章力を伸ばしていくようです。

基本情報『小論文これだけ!超基礎編』の良いところ

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小論文の書き出しや段落構成に迷いがなくなる

 いざ小論文を書けと言われたときに悩むのがズバリ「書き出し」ですよね。

 白紙の原稿用紙を前に、なんと書き出したらよいか分からない。ペンが止まってしまう。

 そういう経験がある人は多いはず。

 この『小論文これだけ!超基礎編』では、書き出しのパターンとして3つの例を示しています。

 具体的にどんな例かは、ぜひ本をとって見ていただければと思いますが、とにかく具体的にその3つの書き出しが例とともに載せられていて、「この中のまずはどれか1つが使えればいい」と安心感を持って送り出してくれます。

 また、小論文を書いていると迷うことの一つに、段落構成があげられます。

 具体的にどのような内容で組み立てていけば、まとまりの良い答案になるのか、見通し持って書けない人も多いはずです。

 本書では、小論文の最適な構成を「四部構成」とまとめており、具体的な分量割合やそれぞれのパートでの内容を示してくれています。

 これも、まずはこの型を守ることで上達していくのだと自信を持って主張されています。

 迷いなく書けるようになる、というのは、それだけでハードルが下がりますから、必然的に練習量も増えます。

 初心者が迷いがちなところが、冒頭第一部の約60ページにまとめられています。

 すぐに真似できる・取り入れられることが多いことから、即効性を「星4」としました。

最低限のネタ(知識)を身につけられる

 本書では以上のように、まず第1部で小論文の書き方を押さえます。

 上記のような段落構成の話や、課題文がある問題・そうでない問題に分けて、どう解き進めていったらよいか、などということがまとめられています。

 それでが本書の4分の1程度を占めています。

 残りの4分の3は、よく出題される主要テーマについて、その概要や注意点、作文例がまとめられています。

 小論文では、時に受験学部や学科に応じた深いテーマで論述を迫られることがあります。

 例えば、医療・看護系の学科の過去問を解いていると、

「インフォームド・コンセントについて、あなたはどう思いますか。800字程度で考えを述べなさい」

 というような問題に出会います。

 このテーマで論じようと思えば、まず少なくとも「インフォームド・コンセント」についてその意味するところや背景を知っておく必要がありますし、よくどんな論調で語られるかを知っておくと一気に小論文が書きやすくなるでしょう。

 このように、各分野の頻出の話題については、その背景知識や問題点を知っておかねばなりません。

 本書では、10の大きなジャンルについて、その前提知識の入り口や主要なキーワードをまとめてくれています。

 また、それぞれのジャンルの中では、小論文の問題が1つ組まれており、それについて「賛成」の立場をとったときと「反対」の立場をとったときの答案例がそれぞれ載せられています。

 1つのテーマについて、両サイドの良い作文例を見るのは、大変良い勉強になります。

 また、世の中には、もう少し深い話をまとめた小論文参考書として、いわゆる「ネタ本」の類がありますが、本書はその手前のレベルのところでアウトライン的にまとめられています。

 例題では、自分も小論文を書くことにチャレンジして、答案例と比べてみましょう。

 そして、自らの立場(賛成・反対)と逆の答案例も読みましょう。自分と逆の立場からの論理的な主張を知ることで、「そのような考え方もあるのか」と新たな発見があるはずです。

『小論文これだけ!超基礎編』の注意すべき点

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  『小論文これだけ!超基礎編』は読みやすいことと引き換えに、情報量をやや絞って書かれている印象を受けます。

 第2部で「環境問題」などいくつかテーマやキーワードを出して背景とともに説明しています。しかし、例示しているキーワードの量は最低限に収めている感じが否めません。

 超基礎編と称しており、キーワード量を多くして読みづらくなることを危惧したのかもしれません。

 しかがって本書を読み終えたら、別のネタ本やキーワード集でより深い見識をつけましょう。志望学部に合うテーマや用語を深く知ると、より深い理解力と関心度をアピールできるでしょう。

 また、例題はテーマ型(●●についてどのように考えますか?など抽象的な問題)が多い一方、課題文型(文章が与えられ、設問に対して論じる問題)が少ない印象です。

 生徒さんは自らの志望大学の形式を早めに把握して、別の参考書で課題文型の小論文を書くことに慣れておく必要があります。

「小論文これだけ!超基礎編」まとめ

 本書をまとめると次のようになります。

  『小論文これだけ!超基礎編』だけでは、学部ごとの専門知識や実戦問題はカバーしきれない部分があります。

 そのため、あくまで「小論文の入り口」と捉えた方が無難といえるでしょう。

 一方、小論文のビギナーにとっては非常に分かりやすい参考書といえます。段落構成や書き出しに迷わなくなるのは、小論文にまだ慣れていない方には特に有用性があるでしょう。

 小論文の型、最低限のネタ(知識)、を固められるので、早めに終えておきたい一冊です。

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